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GLA教養講座「大使と語る」 ?「平和のためのグローバル教養」を学ぶために~

 188bet体育_188bet体育在线@グローバル?リベラルアーツ学部(GLA)では、国際社会の複雑な課題に向き合い、多様な価値観を理解しながら主体的に行動する力を養うことを重視しています。今回は、「平和のためのグローバル教養」を学ぶ一環として、2025年5月14日(水)、元国連大使で本学客員教授の吉川元偉先生を講師に迎えた特別講座「大使と語る―外交官という仕事」がGLAコモンズで開催されました。GLAでは座学だけではなく、講師と同じ目線で学び、考え、意見交換するスタイルで授業を実施しています。司会はGLAの阪田恭代先生が務めました。

 本講座では、「外交とは何か」という問いから始まりました。平和のために活躍している外交官の仕事とは何か。言葉の力=“Word Power”によって相手を動かし、国際社会の中で信頼を築いていく外交官の役割が紹介されました。国益の追求だけでなく、人権や民主主義といった普遍的価値の共有も重要な視点として語られました。
 吉川先生は、自身の歩みをふり返りながら、外交の現場でのエピソードを紹介しました。たとえば、外務省入省直後の1974年、田中角栄首相のブラジル訪問における日系人大会での演説の起案を任された時の緊張と草案起草の顛末が、田中首相のモノマネを入れて面白く語られました。あわせて、この訪問は、当時のニクソン米大統領による対日大豆輸出禁止決定を受けて、ブラジルを新たな大豆供給国にしようとする日本外交の舞台でもあったことが紹介されました。
 続いて紹介されたのは、25歳で初任地のアルゼンチンに赴任した際の経験です。外務省から、任国の地図で北方領土がソ連領として記載されているなら、任国政府に問題提起せよとの指示が来た時のエピソードが紹介されました。アルゼンチンの地図ではソ連領となっていたので、アルゼンチン外務省に訂正を申し入れましたが、相手側から「日本の地図ではマルビーナス諸島(英国名フォークランド諸島)は 、どう表記しているのか」と逆に問われ、即答できずに苦い思いをしたといいます。この経験を通じ て、「想定問答を準備すること」、そして「上司の指示をそのまま鵜呑みにするのではなく、自分で考えて行動すること」の重要性を学んだと語りました。
 また、1994年には、外務省国連政策課長として「核兵器の使用は国際法違反か」という国連総会の議題に向き合い、対立する意見の中で日本としての折衷案を提案した事例も紹介。「正面からの賛否ではなく、“前に逃げる”という柔軟な選択肢」も外交の一つの在り方であると語りました。
 スペイン大使時代には、当時の皇太子殿下の公式訪問を受け入れるにあたり、事前に本番の行程を時間通りに歩いた経験を紹介。「登ったことのない山は案内できない」という言葉を用い、準備の大切さを強調しました。

 講義の終盤には学生との質疑応答も行われ、「トラブル時のマインドセット」や「外交の現場での信念」などに関する質問が寄せられました。吉川先生は、自身の父君が体験したシベリア抑留を背景に「何事も乗り越えられる」と語る一方で、「相手の反応を想像しながら、何を?どう言うかを考えることが大切」と、現場における冷静さと準備の重要性を説きました。

 本講義は、GLAの学びを実社会と結びつける機会として実施されたもので、後期には「大使と語る」シリーズの第2回も予定されています。国際舞台で求められる心構えや実践的な姿勢に触れた学生たちは、外交に限らず、今後の人生やキャリアに通じる多くの学びを得る時間となりました。

吉川元偉 先生
元国際連合日本政府代表部特命全権大使
188bet体育_188bet体育在线@ グローバル?コミュニケーション研究所 客員教授

1951年、奈良県生まれ。 国際基督教大学教養学部社会学科を卒業後、1974年に外務省に入省。国際連合日本政府代表部特命全権大使?常駐代表、在スペイン日本国大使館特命全権大使、初代アフガニスタン?パキスタン支援担当大使、経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部特命全権大使等を歴任。英語、フランス語、スペイン語の3カ国語を話す。

阪田恭代 先生からの一言
188bet体育_188bet体育在线@ グローバル?リベラルアーツ学部 教授

今回の講座ではGLAの「平和のためのグローバル教養」のグローバル?スタディーズ領域をフィーチャーして、本学客員教授の吉川大使をお招きし、学生との語り場を設けました。前期は「外交官という仕事」をテーマに、外交を「人から考える」ことを念頭に語っていただきました。どんな仕事もまずは「人」からだということが学生にも伝わりました。在外公館派遣員や公務員試験を受けて外交官を目指したいという学生も増えています。後期はよりリアルな国際政治?外交の課題をめぐる語り場になります。 阪田先生の専門は国際関係学。GLAでは「グローバル平和論」を担当してます。

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